21世紀の社会では、語学力やITスキルと同様に、環境に対する豊富な知識を持ち、より環境づくりへの配慮ができる人材が求められるようになっています。教育機関として、社会貢献に加え、「環境に配慮できる人材育成」を目標としています。
環境講話
大学の学部学科では、科目や講話を通して環境に係わるテーマを取り上げて環境について考える機会を設けています。広く社会に対し環境問題を考える力、行動力を養う力、環境を媒体に様々な能力を養う教育などを通して、環境についての知識を高めるとともに、人間活動と環境への係わりについて総合的な理解と認識を深めていきます。
大学生は、社会に出る直前の段階にいます。社会は、多くのことを学生たちに求めています。それは一言で「人間力」としてくくられることが多いようです。「人間力」とは人として持っているべき能力であることは当然ですが、特に環境リテラシーにすぐれた人材であることを本学では学生たちに課したいと考えています。
リサイクルプロジェクト
教育学部で開講されている一年次教育の一つとして「リサイクルプロジェクト」があります。一年次教育は全学部必修で、後期中等教育(高校)から高等教育(大学)への移行をスムーズに行うことをサポートするものです。
この「リサイクルプロジェクト」では、学生たちが自ら企画をたてます。それを実施し、さらに、評価、改善するという形で授業が行われ、リーダーシップやチームワークを学ぶことになります。内容は「環境を意識した遊具、玩具の製作と発表」。作品は実際に子どもたちのいる場所(保育園・幼稚園・児童クラブなど)で子どもたちのきびしい検証を受けることになります。何が環境にとってよいのか、何が子どもたちにとってよいのか、学びは続きます。
ビーチクリーンアップin湘南
工学部1年生(約270名)は集中労作を毎年行っています。この労作は、全人教育の一環として、自ら額に汗して働き、労働の価値を体験し、ごみ拾い・清掃を行うことを通して、社会奉仕の精神“受くるより、与えることは幸いなり”を考える機会を持つことを目的として実施されているものです。
1例として「ビーチクリーンアップin湘南」があります。広い砂浜には驚くほどたくさんのごみが落ちています。そこで捨てられたものもあれば、どこかから流れてきたものもあります。必死に作業をしていくうちに、砂浜はみるみる姿をかえていきます。自らの環境を自らの手で守っていくこと、それがほんとうに実感できる労作となっています。
農学部園芸班
田畑や里山、温室などの施設は、常に適切な手入れをしながら持続的に活用し続ける必要があります。園芸班は、田畑や里山への持続的な介入を行いながら、農学部の教育・研究活動をバックアップするグループとして2007年度に設置されました。各自が農学部学生としての栽培技術の向上に努め、ボランティア精神を育み、学科学年を越えたコミュニケーションの場を作りながら活動しています。
実習および実験などで使用予定のない畑では、野菜の栽培と周辺の管理をしています。温室では、学内の花壇やプランターに1年を通して花を絶やさぬよう計画的に苗を育てています。花苗の栽培には、赤土や腐葉土などを混ぜた学生たち手作りの土を使っています。この腐葉土も、教職員のみなさんが掃き集めた路上の落ち葉を活用し、学生たちの手で枠に入れ、踏み固め、積み上げ、1年かけて作っています。
ミュージアム・プロジェクト
表現活動を重視する芸術学部では、演劇舞踊公演、演奏活動、メディア・アーツ発表、ファッションショー等、学生と教員が力を合わせて組み上げていく場面で、その活動とエコロジーとの関りは基本的な問題となります。そこでは常に、改めて学ぶべきことが発見されます。
環境問題啓発のメッセ−ジも重要な学習主題になります。そして、直截例はポスター制作や、動画構成の授業で発揮されます。
毎年10月、町田市立国際版画美術館のフェスティバルに参加する、ミュージアム・プロジェクトという科目があります。この授業では、キャンパス内の剪定枝、廃棄紙、回収ペットボトル、間伐竹等を素材として、来場者参加型の造形活動を展開します。本来は顧みられないかも知れない物を素材資源として、造形をみんなで楽しもうと、学生たちは考えをめぐらします。
おおぜいの子どもたち、孫とおばあちゃん「こんな物で楽しめるんだね」が感想です。笑顔がいっぱいな時間と貴重な体験を得ています。
内部環境監査員育成
工学部では、環境に対し効果的に推進するために必要とされている内部監査員の人材育成プログラムを、財団法人日本規格協会との提携による養成コースとして実施しています。受講終了後は、実社会に通用する内部監査員の修了証が発行されます。
学生活性化コミュニティー
玉川大学では、2011年度から「学生活性化コミュニティー」を本格的にスタートさせました。これは、講義(授業)などの正課、クラブ・サークルなどの課外活動に続く第三のコミュニティーと位置づけ、学生間の交流や居場所作りを目指すものです。そこでは学生が主体となった環境に関する活動を初めとしたさまざまな活動が展開されます。
2008年度に実施した、「玉川大学の現状と将来像に関する調査」では、「他学部の学生との交流の場がない」「居場所が欲しい」という回答が多くみられました。そこで、主にクラブ・サークル活動に所属していない学生のために、気軽に活動に参加できる学生主体のコミュニティーを学生たちと立ち上げました。
キーワードは「絆とつながり」「楽しみながら学ぶ」です。いろいろな学部の学生が集い、クラブ活動の応援や地域と連動した清掃などのボランティア活動、研修センターや外部機関での研修など、玉川大学の特性を活かした活動に取り組み、つながりや関係を広げ深めながら、人間として成長していく、そんな活動を目指しています。
コミュニティーの運営メンバーは昨年度、「学生活性化コミュニティー」の発足に向けて、仙台で開催された全日本大学女子駅伝の応援を皮切りに、研修センターでのセミナーや駅周辺の清掃ボランティアなどの活動を経験してきました。それらの活動を通して学んだ経験をさらに多くの学生にも伝えたいと、コミュニティーの運営に取り組んでいます。
また、今後の展望についても、他学部の学生・地域住民・他大学の学生との交流、学生の目線で発信する情報誌の発刊、有識者や成功者を招いたセミナーの開催などさまざまな取り組みを実現していきたいと熱く語っていました。これらの活動は、参加する学生の意欲でさらに幅広いものになっていくでしょう。
学生の、学生による、学生のための「学生活性化コミュニティー」。その中で学生たちが互いに刺激し合いながら「絆とつながり」を深め、社会人として必要なキャリア・スキルを獲得しながら、玉川大学の学生らしい学生生活を送れるよう、本学はコミュニティーを支援しています。
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[ これまでに実施した活動 ]
- 地元商店会との駅周辺の清掃ボランティア
- クラブ活動の応援(女子駅伝チームの応援)
- 学内外での研修会
- クリスマスツリー電飾設置作業
その他の環境教育例
- 環境問題を取り入れた英語教育
- コスモス祭において、環境活動に取り組む
- 卒業研究(環境関連の研究)
- 「環境問題」についてのデザイン・ワーク及び発表
- 社会に向けてのエキジビション活動
- エコロジーに対する自己診断を実施する
- 環境フォーラムの開催
- 庭園や植物の観察を行い日々の生活に潤いを与える環境とデザインとの関係を考える「自然観察と庭園めぐり」
他